top of page

ストローベイルのこと

ストローベイルとは直方体に圧縮したわら(藁)のブロックのこと。このブロックを積んで厚い壁をつくり、その上から土を塗った建築がストローベイルハウス、通称「わらの家」です。

近年世界各地に広がっている、健康にも良く、環境に負荷をかけない持続可能な建築です。

わらと土でできた厚い壁には高い断熱性と蓄熱性があり、夏は涼しく、冬は暖かいのでエアコンへの依存が減ります。また調湿性に優れ、遮音性の高い室内は、いつもまろやかな空気と、静けさに満ちています。

​​わらは日本人の暮らしに深く根ざした循環型の素材ですが、量産品や輸入建材で家をつくるのが当たり前になり「すまい」が近くの森や水辺、田んぼから切り離されてしまいました。

わらという素材をもう一度私たちの住文化に取り戻すことには大きな意味があると思います。

そして「わらの家」は、地域の職人たちのエコロジカルな知恵と伝統的な技術を取り入れて作ります。単なる欧米のまねではない、私たちの足元と地域を見つめ直す家づくりなのです。

でも、この建築の良いところは、単に環境や健康への負荷が小さいだけではありません。ワークショップではすまい手自身が友人や知人たちと一緒にわらを積み、土を塗ることができます。右写真はすまい手が主導して行うワークショップの様子です。(ベイルを固定し、荒土を塗り込むところまで素人で行っています。)

素材に触れ、一緒に汗を流し、友達を増やしてそれぞれの家へ帰る。そうしたつながりを生みながら、素人がどんどん家づくりに参加していく。

それは本当の意味での「すまい」への愛着を育てることにつながるのではないかと思います。特に子供達のすまいに対する考え方は変わるはず。

人と自然、人と地域、人と人のつながりを感じながら、ものを作る喜びを知ることができる。

「わらの家」にはそういう魅力があります。

都市部では防火制限や、ベイルの厚い壁がスペースを取るので採用しにくいというデメリットもありますが、内壁やベンチ、ディスプレイなど、インテリアとして取り入れるのも一つの方法です。

​私たちは故・大岩剛一先生と一緒に、これまでたくさんのストローベイルハウスを手掛けてきました。これからも空間づくりに活用していきたいと考えています。

​​笠木和子(旧姓:水野)

CIMG2974_edited.jpg

家族で読めるおすすめの本です

くうねるところすむところ17

​「わらの家」

隔月誌「住宅建築」2022年12月号No.496に

故・大岩剛一氏の自邸が特集掲載されました。

大岩氏のこれまでの活動、一緒に設計させて頂いた

私の想いなどを書かせて頂きました。

bottom of page