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樅(もみ)という字は複雑な文字です。
樅の木とは一体どのような木なのでしょうか・・
樅はマツ科モミ属の常緑高木で、学名「アビエス」
ラテン語で永遠の命という意味だそうで、冬の雪に閉ざされる間も緑の葉をつけ生き続ける生命力の強さからきているようです。
樅の木といえばクリスマスツリーで有名ですが、日本では樅はご神木として親しまれています。
民俗や宗教、国が変わっても共通する何かを感じさせられます。
長野県諏訪大社で行われる六年ごとの大祭「御柱祭」は、巨大な樅の木を神山から切り出し、社殿の四隅に建てることで知られています。
古来より日本では、八百万(やおよろず)の神といって万物の自然に神が宿ると信じられていますが、
大きくまっすぐに成長し、高々とそびえる樹木「樅」は柱にふさわしく、依り代として崇められてきたのでしょう。
神様をかぞえるとき、ひとはしら、ふたはしら、といって「柱(はしら)」という単位を用いることからも、神と柱と森の木立の関係は
深いようです。
白く美しい表情は冠婚葬祭に適し、結納台、神棚、御札、絵馬、護摩木、卒塔婆にも樅の木は用いられてきました。
際立った匂いもなく、腐敗防止などの効果があることから、漆器や陶器などの保管箱、おひつやすし桶などにも使われており、
古くから棺桶としても多く利用されてきました。樅は日本人の人生の節目に深く関わりのある、神聖な木のようです。
ヨーロッパではピアノや弦楽器の材料としても樅は用いられています。
シベリウス作曲のピアノ曲「樅の木」は、静けさと強さを感じる曲でフィンランドの冬景色を想起させられます。
文学の世界でも樅の木は登場します。
山本周五郎の小説「樅の木は・・・」
アンデルセンなどの童話にも樅の木を題材にしたものがあるようです。

樅の木のこと
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